こんにちは、新潟雇用労働相談センター相談員の小林哲平です。
労働者が年次有給休暇の取得を請求する際に、使用者がその理由を確認し、理由次第では取得を認めないという扱いをしてよいものでしょうか。
この点、年次有給休暇は、労働者が請求する時季に与えることとされているので、年次有給休暇の取得の時季は原則として労働者の自由とされています。使用者は、一定の場合に時季変更権を行使することはできますが、あくまで例外的な場合にのみ認められます。他方で、年次有給休暇を申請する際に一定の手続を定めることや、労働者が年次有給休暇の取得を請求した際にその理由を聞いたからといって直ちに違法となるわけではないとされます。
しかしながら、取得の理由を教えなかったから又は他の労働者が忙しく働いている時に遊びに行く目的で取得するのが気に入らないといった理由で労働者の取得を認めなかった場合は違法となる可能性が高いと考えられます。また、年次有給休暇の取得は認めたものの、その理由が気に入らないからその後無視するとか、不利益な扱いをするといったことをすればやはり違法となる可能性が高いと考えられます。
例えば、複数の労働者からの年次有給休暇の取得希望日が重なり、かつ、業務上の都合で(適法に)時季変更権を行使せざるを得ない場合に、どの労働者について時季変更権を行使すべきか、その検討・判断のための一材料とするために取得の理由を聞くということであれば、聞き方が執拗・高圧的である等でなければ、理由を聞くこと自体が違法となる可能性は低いと考えられます。
このように、どのような理由であっても原則として労働者は年次有給休暇の取得を自由に行使できると解されます。また、仮に取得の理由を確認するとしても、業務上の合理的な理由・目的があるような場合に限られるので、注意しましょう。
なお、2019年4月以降は、労働基準法が改正され、使用者は、法定の年次有給休暇付与日数が10日以上の全ての労働者(管理監督者を含む)に対し、毎年5日、年次有給休暇を確実に取得させる必要があります。この場合、労働者が自ら請求・取得した年次有給休暇の日数や、労使協定で計画的に取得日を定めて与えた年次有給休暇の日数(計画年休)については、その日数分を時季指定義務が課される年5日から控除する必要があります。
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